日本で初めての公道実験の開始(規制緩和の道のり⑦)

2017年06月12日

2011 年6月2日、いよいよ小さな一歩を踏み出すことができました。日本で初めてとなるセグウェイ公道実験の開始です。記念すべきキックオフ初日は、あいにくの雨でしたが、多くの報道陣が駆けつけてくれました。自分の関わったプロジェクトがメディアで取り上げられるのは嬉しいものです。苦労した甲斐がありました。

狙い通り、日本で初めてとなるモビリティロボットの公道実験プロジェクトは大変な注目を集めることができました。新聞、雑誌、テレビ、ウェブなど各種のメディアが取り上げてくれました。
 結構な数の芸能人がテレビの取材で来てくれました。文春砲で世間を騒がしている某週刊誌も好意的な記事を書いてくれたこともありました(笑)。
 今は亡き地井武男さんが「ちいさんぽ」の取材で来てくれたこともありました。
 「これからの散歩はこれだね〜」という地井さんの一言はとても印象的でした。
 と、世間的には注目を集めた一方、実際の公道実験は、国から付された厳しい条件のおかげで、なかなか骨の折れるものでした。最初は一週間に2日ほどのペースで実験をしたのですが、歩道上何百メートルにもわたりカラーコーンを設置したり、セグウェイ単独では走行ができないため、保安要員として誰かが歩きか自転車で伴走しなくてはなりませんでした。
 横断歩道は、歩道ではないという理由で走行の許可がおりず、セグウェイに乗ったまま渡ることができなかったため、都度下りて押して渡りました。

  

 

 暑い夏は真っ黒に日焼けをし、寒い冬は冷たい北風にさらされながら、実験を続けました。
 
 一年ほど実験をしたのち、厳しかった実験の条件を緩和してもらおうと思いました。それまでの実験の状況もきちんと実験報告書としてまとめたうえで、国に規制緩和の要望をしました。
①カラーコーンの設置をなしにしてほしい、②横断歩道を乗ったまま渡れるようにしてほしい、③保安要員の伴走をなしにしてほしい、などの要望を行いました。
 こちらとしては、最初からこの条件で実験したかったものでした。1年間言う通りにしたんだから、今度は認めてねという気分でした。
 数ヶ月に渡ってこれらの要望について警察庁とやりとりをして、①と②については認めてもらうことができましたが、③についてはまだだめという回答でした。
 
 それでも、少しだけ規制緩和が進んだことで、実験はだいぶやりやすくなりました。走れるエリアも広くなったし、横断歩道でいちいち下りてセグウェイを押さなくてよくなったため、本来のセグウェイの良さをより一層実感できるようになりました。

 

 ③の保安要員の伴走をなくてほしいということについては、その後数年に渡って要望しましたが、なかなか認めてもらうことができませんでした。4年後の2015年になって、やっと半分だけ認められました。半分というのは、保安要員はなくすことはできないが、これまで歩きか自転車での伴走だったものが、セグウェイに乗っての伴走でもよいということになったのでした。
 
 我が国らしいといえばらしいのかもしれませんが、我が国の規制緩和はゆっくりとちょっとずつ少しずつ進んでいったのでした。
 (続く)