防犯パトロール隊に変化が起こった(規制緩和の道のり⑧)

2017年06月14日

 20116月から始まったつくばでのセグウェイ公道実験。アメリカやヨーロッパでは警察官がパトロールに利用しているということでしたので、つくばでも防犯パトロールの実験から始めてみました。 

 つくば市の防犯パトロールの隊員さんたち10名がこれまで徒歩で行っていたものを、セグウェイに替えてパトロールを行ってもらいました。

皆さん、最初は懐疑的で不安もいっぱいでした。アクセルもブレーキもない、タイヤも二つだけで、しかも立って乗る!これまで見たこともない乗り物です。皆さん、50代、60代の方々ばかりでしたので、乗り気じゃないのも分かります。

 ということで、消極的ではありましたが、それでも無理を言って徒歩に代わってセグウェイでパトロールしていただきました。

 

最初のうちは、なんとなく恐る恐るというか、恥ずかしそうな様子でした。が、何日かやっているうちに、思ったより簡単に乗りこなせる。しかも、坂道も楽に登れるし、段差も問題ないし、歩くよりも疲れない。これはいいねと、皆さん、徐々に感じてもらえるようになっていきました。

 

 そして何より、セグウェイでパトロールしていると、「わぁ、カッコいい」とか「すごーい」とか「写真とってもいいですか」とか道を行き交う人たちに声をかけられるようになったのです。



 下校中の小学生や中学生にも羨望の眼差しで見られ、「こんにちはっ」と大きな声で挨拶されるようになり、ときに追いかけられたりするようになりました。

 多分、これは歩いてパトロールをしている時にはほぼ無かったことだと思います。

こんなに注目されるものなのか、こんなによい反応があるなんて、隊員さんもビックリしていました。

 数週間続けて、明らかに防犯パトロールの隊員さんたちの顔つきが変わっていきました。



元自衛隊とか元警察官とかちょっと強面のおじさんたちが多いのですが、とても優しい笑顔を見せるようになったり、イキイキとした表情になっていきました。

 

 行き交う人に積極的に手を振ったり、「こんにちは」と声をかけてくれるようにもなりました。

 下校中の子供達には、子供達の歩く速度でゆっくりと寄り添いながら見守るようにパトロールをするようにもなりました。

 

 注目されるということは、人はみな嫌いではありません。モチベーションがあがります。

 何気なくみちで交わされるコミュニケーションも、人は好きなものです。

 

パトロールという大切だけど、地味な仕事が目立つようになりました。これまで義務的にやっていた仕事が楽しくなっていったことと思います。

パトロールをしているということの認知度も間違いなく上がっていったと思います。

 

 アメリカやヨーロッパで警察官がセグウェイでパトロールする理由がよく分かりました。

 注目されることでモチベーションが上がります。モチベーションが上がればパトロールに出る回数も増えます。

 なにより、住民とのコミュニケーションが活発になるということがとてもよいことに思えます。

 

 早く効率的にとか、楽にたくさんとかではない、クルマや自転車とは違う移動の側面、「スローモビリティ」の可能性をセグウェイは見せてくれました。

 

 馬や馬車のようにゆっくりと周囲を見渡しながら、ときにコミュニケーションをしながら移動するという古くて新しい移動の仕方。そんなセグウェイによって、つくばのまちの中に笑顔と挨拶のシーンが少しずつ増えていったのでした。 

(続く)