よし、特区をとろう(規制緩和への道のり➃)

2017年05月22日



 既存の道路使用許可制度では、セグウェイの公道実験を許可することができない。このとき理由については詳しく聞きませんでしたが、それは全国47都道府県の県警本部を取り仕切る警察庁の判断だということでした。
 
 やはりセグウェイを公道で走らせるには、法律を変えてもらわなくてはならない。しかし法律を変えるのは時間がかかるし、そう簡単ではない。
 
 さて、どうしたらいいか。
 
 何かいい方法はないだろうかと色々と調べてみると、なんと、当時、「構造改革特区」という制度がありました。これは、自治体が地域活性化などのためにやりたいことがあって、その実現のために法律が足かせになっている時に、法律の特例をその地域限定で認めてもらうというものでした。
この制度は、小泉純一郎内閣のときに構造改革政策(規制緩和政策)のひとつとしてできたもの。小泉元総理といえば、ブッシュ元大統領からセグウェイをプレゼントされ、公邸でセグウェイに乗る姿がニュースで話題となった総理です。
 
この制度を使えば、できるかもしれない。
よし、特区をとろう。
 
 そう思った私は、構造改革特区について詳しく調べてみました。この制度は、仕組みはこうです。
 
 法律の特例(規制緩和)の提案は、だれでもできます。これこれこういう法規制が何々の阻害になっているから緩和してほしいなど、国に提案をします。
 そして、それを国(規制官庁)が特例措置としていいよと認めてくれた後、そのあと自治体がその特例措置を使って自分の地域でこれこれをやりたいと申請して、特区の認定を受けるという流れです。
 
 特例の提案は、だれでもできるものの、提案すればなんでも認められるものではありません。実際、過去の事例をみると提案のほとんどが認められていません。セグウェイの公道走行という特区の提案も、過去に何度かなされておりましたが、すべて却下されていました。
 
 無理かなと思いつつも、色々と可能性を探ってみました。
 
 セグウェイに関係する法律、道路交通法と道路運送車両法、それぞれ所管する警察庁と国土交通省にも伺い、話を聞いてみました。
「こういう特区の提案を考えているのですけど」
「法律の特例を認めるには、必要性と緊急性というのがあって、云々・・・」
規制をしている側の官庁ですから、当然ですが、嫌な顔をされました。
 
 経済産業省なら応援してくれるかなと思い、相談に行ってみました。
「こういう特区をつくばでやりたいと思っているのですけど、応援してくれませんか」
「まだ日本では早いんじゃないですかね〜云々・・・」
こちらも思いのほかあまり反応がよくありませんでした。
 
セグウェイと同じようなパーソナルモビリティを開発している某自動車会社にも声をかけてみました。
「つくばでこんな特区をしたいと思っているのですが、いっしょにやりませんか」
「つくばではちょっと遠くて〜云々。。。」
 
 各方面、あまり反応がよくありません。
 しかも、ときは2009年、当時は民主党政権でした。自民党小泉内閣が作った「構造改革特区制度」での新たな提案が認められるのか。
 
 かなりの逆風のような状況でありましたが、提案するだけならタダですし、提案だけはしてみようと思いました。当時の上司や首長もとても前向きで、ダメでもいいからやろう!と後押しをしてくれました。
 
 お役所とのやりとりは、文章力勝負みたいなところがあります。提案書は、セグウェイだけでは要望が通らないかもと思ったので、搭乗型移動支援ロボットというカテゴリーで他の似たようなロボットも含めて公道実験を認めてほしいという内容にしました。できるかぎり必要性などの理屈も並べたてました。こちらが真剣だと思ってもらえるよう、道路交通法、道路運送車両法の、これこれこの条文とこの条文がひっかかると法律に精通しているようにも装いました。
 
 そして、2009年10月、「搭乗型移動支援ロボット公道走行実証実験特区」という名でセグウェイの規制緩和の提案を国に対して行いました。
 内心認められないだろうなと、半分以上ダメもとで出した提案でしたが、翌2010年1月、この提案は奇跡的にも認められたのでした。
 
(つづく)