特区の提案から1年半(規制緩和への道のり)

2017年05月29日

当って砕けるつもりで出した提案書が国に認められて、少しだけ有頂天になりました。

しかし、それもつかの間でした。

長い長い国との協議がこれから始まるのでした。

 
 国の回答は、あくまで「一定の条件のもと」でセグウェイの公道実験を認めるというものでした。この「一定の条件のもと」というのが厄介でした。
 2010年2月から、この「一定の条件」を巡り、国との折衝が始まりました。
 
 交渉の相手は、道路交通法を所管する警察庁です。あちらはできるかぎりの安全対策を施さない限り、公道実験を認めないというスタンスでした。
 
 警察庁の示す実験の条件は、大変厳しいものでした。例えば、セグウェイを走らせる歩道の幅員や交通量についての制限のほか、速度の制限、看板の設置、歩道上にカラーコーンを置くこと、保安要員の伴走(セグウェイ単体で歩道を走るのは認められず、セグウェイに乗らない者が歩きか自転車でついていくこと)などでした。
 
 こちらとしては、セグウェイやロボットを社会に役立てるための社会実験ですので、できるだけ日常的な環境で実験をしたいというスタンスでしたので、可能なかぎり条件を緩めてもらうよう折衝をしました。
 
 その後の運営のことも考え,少なくとも「カラーコーンの設置」や「保安要員の伴走」は免れたいと思いました。
 
しかし、相手は全国津々浦々に20万人以上の警察官を抱える大官庁のキャリア官僚、とても手強い相手でした。こちらの要望はなかなか通りませんでした。
 
 交渉は1年以上に及び、なかなか困難を極めました。これ以上やっても進展は見られず、わが上司からもまずは公道を走らせることが重要だと言われ、ほぼ警察庁の条件をのむことになりました。
   お役所の壁の高さを実感し、若干気が滅入った年でした・・・。
 
 その間、国土交通省とも交渉しました。こちらは道路運送車両法を所管しています。セグウェイを自動車なのかバイクなのか何かしらの車両に位置づけなくてはならないということで、本来であれば、歩道を走る新しい乗り物のカテゴリーを新設してもらいたかったのですが、それは法改正が必要になり時間がかかるし現時点ではできないということでした。結果、とりあえず仮の措置として、既存の「小型特殊自動車」という位置づけになりました。
 
 あくまで仮の措置ですので、将来的には歩道を走る新しいカテゴリー「搭乗型移動支援ロボット」として位置付けてもらいたいと思ってます。
 
 また、所轄の警察署とも話し合いをしました。2年前にはダメだと言われましたが、今回は特区の承認が出て、警察庁からも実験の条件が通達として示されているので、その範囲であれば実験してもよいということになりました。
 
 そんなこんなで、特区を提案してから、1年半が過ぎましたが、いよいよ、2011年の6月、日本で初めてとなるセグウェイの公道実験が開始できることとなったのでした。
 なかなか大変な条件を付されたうえでの船出ではありましたが・・・
(つづく)
 
 大久保